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2022年3月17日更新

~Concert Impression④~

サイトウ・キネン・オーケストラ

 オープニング・コンサート・シリーズのテーマには「伝統と革新」が掲げられています。桐朋学園宗次ホールとサイトウ・キネン・オーケストラの融合はまさに「革新」と「伝統」を象徴していたと言えるでしょう。

 

 9月7日に予定されていたサイトウ・キネン・オーケストラの公演は新型コロナウイルス禍によって延期となりましたが、11月3日に無事開催できました。猛威を振るっていたコロナもこの時期はしばし収束し、11月からホールの収容率も100%に変更したため、待望の公演に多くのお客様が来場されました。

 

 サイトウ・キネン・オーケストラは、桐朋学園の創設者である齋藤秀雄先生の没後10年を記念し、1984年9月に桐朋を代表する指揮者である小澤征爾さんと秋山和慶さんの呼びかけにより、国際的に活躍している100余名の齋藤先生の弟子がコンサートを行ったことから始まりました。その後、サイトウ・キネン・オーケストラは世界各地から招聘され、絶賛を博してきたことに留まらず、国内にも世界最高水準のアンサンブルを提供することで日本のクラシック音楽界の発展に貢献しました。サイトウ・キネン・オーケストラは、本学の歴史を語る際に欠かせない存在と言えるでしょう。

 

 本公演ではグリーグの《ホルベルク組曲》Op.40、チャイコフスキーの《弦楽のセレナード》Op.48が演奏されました。伝統が感じられる重厚な響きにホールも様変わりしたように反応し、至福な空間が生み出されていました。本公演をお聴き頂いたお客様からは多くのメッセージが届いております。

 

「非常に感動しました!長年悲願のホールに桐朋の起源のサイトウキネンの音が響いた現実と、指揮者不在で呼吸を一つに合わせたプロの極みのメンバーの響きの素晴らしさに、心が深く揺さぶられました。今日が本当の意味での柿落としでした。」(教員)

「松本のチケットもなかなか入手できないのに、あのサイトウ・キネン・オーケストラを生で聴くことができたのは夢のようです。齋藤門下生の体に染みついている伝統の演目で、K.136(モーツァルト)の美しいアンダンテでは思わず涙が出てきそうになりました。」(音楽教室ご父母)

 

「本日はサイトウ・キネン・オーケストラの演奏会を音楽教室で勉強させて頂いている子供と共に聴かせていただきました。素晴らしい奏者の演奏を本当に間近で聴かせていただき、圧巻でした。指揮者なしでの演奏は、アイコンタクトと息づかいで見事に合わさって、生まれる音楽のうねりが素晴らしかったです。子供はいつかチャイコフスキーが弾きたい!と目を輝かせていました。」(音楽教室ご父母)

 

「サイトウ・キネン・オーケストラの弦楽合奏を聴くことができて大変感謝しております。メインのグリーグとチャイコフスキーが素晴らしかったのは言うまでもありませんが、アンコールで演奏されたモーツァルトのニ長調のディヴェルティメントの第2楽章の音には本プロ以上の感動がありました。芯がしっかり通っていながら力みの全くない音はなかなか聴けるものではありません。95年のウィーン・フィル定期で小澤征爾さんが指揮したジュピター交響曲で聴いて以来かも知れません。小澤さんが指揮台にいるかのようでした。」(音楽教室ご父母)

「サイトウキネンの音が蘇る。伝統の重みを感じました。普段は別々の場所でご活躍のメンバーが音を出す。きっと一瞬にして同じ世界へ導かれるのでしょう。聴いている私もそうでした。コントラバスのピッツィカート1音でオーケストラ(音楽)が生きる、それぞれのパートの掛け合い重なり合いで到達する世界…指揮台はなかったけど、そこにはまるで齋藤秀雄先生、小澤征爾さんがいらっしゃる様でした。桐朋のホールが大き過ぎず、愛のある音楽がよく伝わる234席の大きさであることを嬉しく思いました。」(音楽教室講師)

 サイトウ・キネン・オーケストラの伝統ある響きを革新的なホールが包み込み、本公演は多くの感動と反響を呼びました!

 なお、前日のリハーサルでは小澤征爾さんが駆けつけてくださり、最後にはモーツァルトの《ディヴェルティメント》K.136の第2楽章を指揮されました。小澤さんも桐朋学園宗次ホールの響きに大変感激されたとのことです。

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